ミッションと熱意。
サイト立ち上げに至るまで
このサイトは、各作品の情報に加え、日本でのレビュー記事をアーカイブしています。「クチコミ」に頼らない、映画の情報を集める必要を感じたことが、サイト立ち上げのきっかけでした。
映画の資料サイトとして引用されているRotten TomatosやIMDb、インドの映画総合サイトBook My Showは、評論家や映画記者によるレビューとユーザーレビューを並記しています。
しかし日本の映画情報サイトの多くは、匿名ユーザーからのクチコミのみが掲載されています。なかには、個人的な好みのみを述べるレビューがあり、それだけで作品を判断するには情報として不十分ではないかと常々感じてきました。さらには、フリーランス向け仕事検索サイトには、映画のクチコミを仕事として募集する案件が時折掲載されています。映画サイトのクチコミがお金で買われたものとは断定できないものの、匿名で書かれたレビューだけを信用するのは避けたいと感じました。
一方で、インド映画の中には、作品の質に関係なく、政治的な批判から評価を下げられた作品があります。例を挙げると、過去にIMDbではバングラデシュ独立の歴史を歪めて描いたとして『Gunday』(2014)がアンチ派に低評価をつけられ、IMDb掲載全作品の中で最も低い評価をつけられたと当時話題になりました。他方、ディーピカー・パドゥコーンが女性への硫酸攻撃を止めたいと、プロデューサーも務め主演した作品『Chaapaak』(2020)も政治的な対立からアンチ派の標的にされ、低評価を付けられました。
2作品とも、Rotten Tomatoesの評論家レビューでは一定水準以上の評価を受けています。しかしIMDbはレビューを修正せず、2作品ともに低評価のまま。自分自身、手っ取り早く作品の情報を得るときはユーザーレビューの評点を参考にしていましたが、この一件で考えを改めました。
批評とは良い点と悪い点双方を比べ作品の価値を決めることであり、鑑賞者の好みのみで作品を判断するべきではないと考えています。そのため、評論家や映画研究家による視点をアーカイブし、作品の情報を総合的に収集できるサイトの立ち上げに至りました。
[Clippings/ 関連記事]
Ranveer Singh, Arjun Kapoor’s Gunday ranked worst film on IMDb
Crowdsourced campaign about film’s portrayal of Bangladesh is behind low ranking.
(BY STEVEN BAKER/ Digital Spy/ 02/05/2014)
Deepika’s ‘Chhapaak’ rated low on IMDB despite good reviews, targeted for JNU visit?
衝撃の初インド映画
サイト管理者がインド映画に引き込まれた最初の1本は、ヒジュラー(第三の性を持つ人々)を描いた『ナヴァラサ』(監督:サントーシュ ・シヴァン/原題:Navarasa/ 2005)。日本では、NHKアジア・フィルム・フェスティバルで2009年に上映され、その後、一部の劇場で一般公開されました。
学生時代は横浜にあった名画座「関内アカデミー劇場」でもぎりのアルバイトをしており、娯楽作品からアート系まで、ある程度の本数は見ていましたが、アジア映画は当時まだ公開が少なく、中国、韓国の作品に留まっていました。
『ナヴァラサ』を撮ったサントーシュ・シヴァン監督は、娯楽大作の撮影監督を務める一方で、自身の監督作品はアート系。『ナヴァラサ』は、フィクションとドキュメンタリーが混在した不思議な作品で、途上国だと決めつけ、関心すら持っていなかったインドの映画が、実に新鮮だったことに印象づけられました。
その後2013年頃から、インド映画音楽を紹介するDJを始める際「印度映画広報委員会」を名乗り、業務での広報経験からインド映画の広報をボランティアとして手伝うようになり、現在に至ります。