注目のアジア映画を紹介する大阪アジアン映画祭。過去には『ブルブルは歌える』(2019年上映)、『ニュートン』(2018年上映)など、各国の映画祭で話題になった新作インド映画をうまくすくい上げ、紹介してきた。
新型コロナウイルス感染症(COVD-19)の影響で開催有無が懸念される中、2月20日に開催決定のアナウンスが発表された。
第15回大阪アジアン映画祭は、一部のイベント・共催企画を除き、予定通り実施いたします。なお、上映会場には手指消毒液の設置を行う予定です。ご来場の皆さまにも手洗いや咳エチケット実施、体調不良時は来場を控えるなどご協力をお願いいたします。前売券も2月23日から予定通り販売します。
(続く)— 大阪アジアン映画祭事務局:OAFF (@oaffpress) February 21, 2020
第15回となる2020年は3月6日~15日に開催。南アジア関連作品のラインナップはこちら。個人的に注目しているのは、「特別注視部門」で上映される『ライオン 25年目のただいま』(2016)に出演した俳優、タニシュター・チャタルジーの初監督作品『ローマをさまよう』(2019)。
-Table of Contents
コンペティション部門
インドからはメーガ・ラーマスワーミ監督の『オッズ』、日本在住のインド人監督、アンシュル・チョウハンの『コントラ』が上映される。
オッズ
(原題:The Odds/ 2019/ インド)
監督:メーガ・ラーマスワーミ
出演: アバイ・デーオール、ヤシャスウィニ・ダヤマ、カランヴィール・マルホートラ、プリヤンカ・ボース、モニカ・ドグラ
ムンバイの女子高生の成長物語で、メーガ・ラーマスワーミ監督の長編デビュー作。『Dear Zindagi』(2016)、『恐怖症』(原題:Phobia/ 2016)のヤシャスウィニ・ダヤマが主演。アバイ・デーオール(デーヴD、人生は二度とない)が出演し、プロデューサーも務めている。日本初上映。
メーガ・ラーマスワーミは、ムンバイを拠点に活動する監督・脚本家。ヒンディー映画『Shaitan』(2011)の脚本を手がけ、以後監督に転向し、トロント国際映画祭など国内外の映画祭で短編作品『Newborns』(2014)、『Bunny』(2015)を出品している。硫酸攻撃の被害者を主題とした『Newborns』は、各国の映画祭で賞を受賞。惜しまれつつ閉店したムンバイの音楽ショップ「リズム・ハウス」の閉店を追ったドキュメンタリー『The Last Music Store』(2016)も発表している。
http://www.oaff.jp/2020/ja/program/c09.html
メーガ・ラーマスワーミ ウェブサイト
http://www.megharamaswamy.com/
Megha Ramaswamy’s coming-of-age series, ‘The Odds’, to premiere in LA
(by Nikhil VenkatesaMARCH 22, 2019 / The Hindu)
https://www.thehindu.com/entertainment/movies/indian-series-the-odds-to-premiere-in-los-angeles/article26607012.ece
コントラ
(原題:Kontra/ 2019/ 日本)
出演:円井わん、間瀬英正、山田太一、小島聖良、清水拓蔵
インド出身日本在住のアンシュル・チョウハン監督、『東京不穏詩』(2018)に続く、大阪アジアン映画祭での上映。タリン・ブラックナイト映画祭(エストニア)で、日本映画初のグランプリを受賞した話題作。
http://www.oaff.jp/2020/ja/program/c06.html
円井わん主演「KONTORA」エストニアの映画祭でグランプリ獲得 (映画ナタリー 2019年12月1日掲載)https://natalie.mu/eiga/news/357702
特別注視部門
2020年に新設された部門。4作品が選ばれた。
ローマをさまよう
(原題:Roam Rome Mein/ 2019/ インド・イタリア)
監督:タニシュター・チャタルジー
出演:ナワーズッディーン・シッディーキー、タニシュター・チャタルジー
迷子物語『ライオン 25年目のただいま』(2016)に出演したタニシュター・チャタルジー初監督作品。女性差別的で厳格な父に反発し、ローマに旅立ったきり消息不明になっていた妹(タニシュター)と、彼女を探しにやってきたラージ(ナワーズッディーン)。ラージは次第に、自身が父のような男性支配的な考えを持っていることに気づく。Hollywood Reporterのレビューによると、「フェミニストのパンチが効いた、観客を喜ばせるファンタジー(A crowd-pleasing fantasy with a feminist punch. )」とのこと。釜山国際映画祭ではAsian Star Awardを受賞した。
作品のきっかけは、『ライオン』での共演。「コルカタで撮影中、タニシュターからアイデアが持ちかけられ、2年後にローマで撮影が行なわれた」と、ニューヨーク南インド映画祭でのインタビューでナワーズッディーンが語っている。
http://www.oaff.jp/2020/ja/program/sl04.html
‘Every Inch of My Being’ (‘Roam Rome Mein’): Film Review
(Hollywood Reporter/ 10/27/2019 by Deborah Young)
https://www.hollywoodreporter.com/review/inch-my-being-1249732
牙と髭のある女神をさがす
(原題:Looking for a Lady with Fangs and a Moustache/ 2019年/ ネパール・メキシコ)
監督:ケンツェ・ノルブ
出演:ウーゲン・トーバヤル・リンポーチェ、チーリング・ターシ・ガヤルタン
少女の幻影を見た青年は、「1週間後に死ぬ運命にある」と宣言される。高僧から修行を授かるが、無為に時が過ぎていく。偉大な僧侶の生まれ変わりであると認められたブータン出身の映画監督、ケンツェ・ノルブがネパールで撮った寓話的な作品。製作国のメキシコの映画祭で上映されて以来、海外初上映。
http://www.oaff.jp/2020/ja/program/sl02.html
特別招待作品部門
メイド・イン・バングラデシュ
(原題:Made in Bangladesh/ 2019/ フランス・バングラデシュ・デンマーク・ポルトガル)
監督:ルバイヤット・ホセイン
出演:リキタ・ナンディニ・シム、ノベラ・ラフマン、パルビン・パル、ディパニタ・マーティン
アパレルブランドの縫製工場で働く23歳の女性は 労働環境を改善しようと、組合を立ち上げる。実話ベースのドラマ。バングラデシュには、「ファストファッション」の縫製工場が世界から集まり、日本にも輸入されている。それらの工場が集まるビル「ラナ・プラザ」が崩落し、1千人あまりが犠牲者となった2013年の事件もまだ記憶に新しい。本作の主人公たちの闘いは、日本人の消費生活と無関係ではないといえるだろう。3月13日(金)には、作品をテーマとしたシンポジウムが開催される。ルバイヤット・ホセイン監督は、これまでにも女性を主人公とした『Meherjaan』(2011)、『Under Construction』 (2015)などを製作している。
http://www.oaff.jp/2020/ja/program/s01.html
なお、当初予定されていた舞台挨拶は、残念ながら全て中止に。
3/6-15開催の第15回大阪アジアン映画祭は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を巡る昨今の状況を鑑み、全ての舞台挨拶の中止、サイン会の中止を決定しました。なお上映については、予定通り実施します。楽しみにしていた皆様には申し訳ございません。ご理解のほどよろしくお願いいたします。
— 大阪アジアン映画祭事務局:OAFF (@oaffpress) March 2, 2020
最新情報は、公式ウェブサイトにてご確認ください。
▼公式サイト
http://www.oaff.jp
▼チケット販売情報はこちら。前売券は2月23日(日)より販売開始。
http://www.oaff.jp/2020/ja/ticket/index.html
注:この情報は2月26日時点のものです。