2019年12月公開・上映のインド映画 December 2019 : Release and Screening Indian Films in Japan

2019年12月公開のインド映画

[今月の公開]

12月の劇場公開は1作品です。

■燃えよスーリヤ!!(原題:Mard Ko Dard Nahin Hota)

燃えよスーリヤポスター

Director: ヴァーサン・バーラー
Cast: アビマニュ・ダサーニー, ラーディカー・マダン、マヘーシュ・マーンジュレーカル、グルシャン・デーヴァイヤー
ヒンディー語/2018
©️2019 RSVP, a division of Unilazer Ventures Private Limited

先天的に痛みを感じない青年、スーリヤ。父と祖父に育てられ、香港映画から学んだマーシャルアーツで、敵に挑む。彼のヒーローは香港俳優。祖父の英雄は日本とも縁が深いインド独立の闘士、ネタジ・チャンドラボース。この対比が、世代差を表していて興味深い。トロント国際映画祭でMidnight Madness賞(観客賞)、マカオ国際映画祭2018で新進俳優賞を受賞した作品が早くも日本公開決定。

監督のヴァサン・バーラーはアヌラーグ・カシヤプの脚本家や助監督などを経て、初監督作『Peddlers』(12)はカンヌ批評家週間で上映される好機に恵まれるが劇場公開に至らず。2作品目の本作で初めて劇場公開がかなったバーラー監督。主演のアビマニュ・ダサーニーは本作がデビューとなる二世俳優。共演のラーディカー・マーダーンは『ヒンディー・ミディアム』の続編への出演が予定されている今後成長が期待される人。

おじいちゃん役のマヘーシュ・マーンジュレーカルは、『ダバング 大胆不敵』のヒロインの酔いどれ父や、ヒンディー映画の悪役で知られる俳優ですが、もともとマラーティー語の演劇出身で、ナーナー・パーテカル主演のマラーティー映画『Natsamrat(舞台の帝王)』(16)を監督した、ディープな映画人。来年日本公開が決まった『Saaho』にも出演しているようですね。

グル役・悪役二役のグルシャン・デーヴァイヤーは個性派作品で主演してきた人。女漁りに溺れる主人公が真実の愛を見つけるコメディー『Hunterrr』(2015)は、検閲が「A」になるのを避けるあまり性愛描写をカットするインド映画界において、英断というかユニークというか、ダイレクトな描写にびっくりする作品。けれどもわりあいに低予算作品だったので、製作費に対する興収では「大ヒット」の判定に。

鬼才監督アヌラーグ・カシヤプも羨んだ、ニューウェーブなマーシャルアーツ映画『燃えよスーリヤ!!』は12月27日公開です。

配給:ショウゲート
12月27日(金)より、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開

 

▼公式サイト
http://moeyo-surya.jp

▼上記記事出典 Anurag Kashyap is jealous of these 2018 movies. See his list/ January 2, 2019/ India Today
https://www.indiatoday.in/movies/celebrities/story/anurag-kashyap-is-jealous-of-these-2018-movies-see-his-list-1421980-2019-01-02

[特集上映]

12月の特集上映は「インディアンムービーウィーク」「インド大映画祭」「サタジット・レイ作品上映」など。

■インディアンムービーウィーク(IMW)2019

9月にキネカ大森(東京)にて開催された上映企画が、大阪、京都、神戸、新宿ピカデリーでも上映。昨年の製作本数1,800本越えのインド映画業界から、タミル映画、マラヤーラム映画、カンナダそしてヒンディー映画11作品を上映。

見どころは、選挙をテーマにしたタミル映画『サルカール 1票の革命』(原題:Sarkar)や、スーパースター、ラジニカーントがスラムの王を演じる『カーラ 黒い砦の闘い』(原題:Kaala)といった、社会テーマを含んだ娯楽作品。ラジニカーント(Rajinikanth)、カマラ・ハーサン(Kamal Haasan)を現役トップ世代とすると、そこに続くのが、ヴィジャイ(Vijay)アジット・クマール(Ajith Kumar)、スーリヤ(Surya)、ヴィクラム(Vikram)、シヴァカールティケヤーン(Sivakarthikeyan)やダヌシュ(Dhanush/ 初出演の欧州映画『クローゼットに閉じ込められた僕の奇想天外な旅』が全国公開)、カールティ(Karthi)やシンブー(Simbu)、ジャヤム・ラヴィ(Jayamravi)というところでしょうか。そして、独自のキャリアを形成しているのが、ヴィジャイ・セードゥパティ(Vijay Sethupathi)ではないかと思います。

そんなタミル映画界の注目俳優出演作がずらりと上映されるのは、かなり見逃せません。ヴィジャイ・セードゥパティが不器用な片思いの写真家を演じる『’96』は、こんなタミル映画があるのかという衝撃をもって受け入れられた大ヒット作。

同じくVSP(VJS)が出演の、ラジニ様主演、ダイ・ハードなラジニファンのカールティク・スッバラージ監督のギャングノワール『ペーッタ』(原題:Petta)は、「悪くてカッコいいラジニが人気」のご当地ファンのための作品。

一方で、IMWの必見作は、マラヤーラム映画界の新世代スターではトップ街道を走るドゥルカル・サルマーン(OK Darling, チャーリー)主演のビリヤーニーをめぐる人情ドラマ『ウスタード・ホテル』、2019年2月現地公開のユーモアあふれるレトロな探偵カンナダ映画『ベルボトム』あたり。ヒンディー映画のラインナップは、2017年の大ヒット作品『弁護士ジョリー2〜真実を白日のもとに』や、『盲目のメロディ』で国家映画賞受賞俳優に成長したアーユシュマーン・クラーナー出演の『バレーリーのバルフィ』は、女性監督アシュヴィニー・アイヤル・ティワーリー監督による新しいタイプの結婚コメディー。

そして、インドで大フロップながらも、キネカ大森での開催時には満席も出たヒーローもの『フライング・ジャット』など。なかなかのラインナップになっています。今回見逃してしまっても、年末の神戸上映もあります。

 

[上映作品]

タミル語映画
『ペーッタ(原題:Petta)』
『サルカール 1票の革命(原題:Sarkar)』
『カーラ 黒い砦の闘い(原題:Kaala)』
『’96』
『永遠の絆(原題:Viswasam)』

ヒンディー語映画
『フライング・ジャット(原題:A Flying Jatt)』
『弁護士ジョリー2〜真実を白日のもとに(原題:Jolly LL.B 2)』 『ジェントルマン(原題:A Gentleman)』 『バレーリーのバルフィ(原題:Bareilly Ki Barfi)』

カンナダ語映画
『ベルボトム(原題:Bell Bottom)』

マラヤーラム語映画
『ウスタード・ホテル(原題:Ustad Hotel)』

[上映スケジュール]

  • キネカ大森 (『フライング・ジャット』のみ) 12/ 6(金)〜12/12(木)  1日1回、16時20分〜
  • テアトル梅田 11/29(金)~12/19(木) 1日1回、15時30分〜
  • なんばパークスシネマ 11/29(金)~12/19(木) 1日1回11時40分〜
  • 新宿ピカデリー 12/6(金)~12/12(木) 1日1回18時前後〜
  • MOVIX 京都 12/6(金)~12/12(木) 1日1回13時〜
  • ミッドランドスクエア シネマ(名古屋) 12/6(金)~12/12(木) 1日2回(2作品) 上映:11:00~/ 18:30~
  • 神戸国際松竹 12/20(金)~1/9(木) 1日3回上映(スケジュール確定)

▼公式サイト
https://imwjapan2019.com/

■IMWヒンディー映画セレクション再上映

IMWヒンディー映画セレクション

10月に開催された「IMWヒンディー映画セレクション」がキネカ大森にて再上映。

日時:12月21日(土)、22日(日)
会場:キネカ大森
主催:SPACEBOX

チラシPDFIMW_hindi_201912(2MB/ タイムテーブル掲載あり)

[上映作品]
『ムンナー・マイケル』(原題:Munna Michael/ 2017)

監督:サビール・カーン
出演:タイガー・シュロフ、ナワーズッディーン・シッディーキー、ニッディ・アゲルワール

ダンスのスキルが若手俳優ナンバーワンの、タイガー・シュロフによるマイケル・ジャクソントリビュート。「バジュランギおじさんと、小さな迷子」のナワーズッディーンがイメージチェンジを強いられておしゃれなギャングのボス役。コメディー多めのダンスミュージカル。

▼予告編

『人生は二度とない』(原題:Zindagi Na Milegi Dobara/ 2011)

Zindagi Na Milegi Dobara

監督:ゾーヤー・アクタル
出演:リティク・ローシャン、アバイ・デーオール、ファルハーン・アクタル、カトリーナ・カイフ、カルキ・ケクラン
音楽:シャンカル・エフサーン・ローイ

車でスペインを旅する学生時代の友人たち。スキューバダイビング・インストラクターのライラとの出会いから、一度しかない人生を悔いなく生きようと気づく。インド的な要素が皆無の、スペインを舞台にしたロードムービー。

▼予告編

『ラーンジャナー』(原題:Raanjhanaa/ 2013)

IMWヒンディー映画セレクション

監督:アーナンド・L・ラーイ
出演:ダヌシュ、ソーナム・カプール、アバイ・デーオール、スワラー・バースカル
音楽:A.R.ラフマーン

イスラーム教徒の少女ゾーヤー(ソーナム・カプール)に恋をした、タミル系バラモンの少年クンダン(ダヌシュ)。クンダンは宗教の壁を超えてゾーヤーと一緒になることを夢見るがー。ヒンディー語を学び、一途な思いを貫くクンダンを演じたダヌシュは、本作でさまざまな映画賞のデビュー俳優賞を受賞した(インドの映画デビューは言語別なので、すでにタミル映画界でキャリアがあったダヌシュも、ヒンディーではデビュー扱いとなる)。パンジャーブに伝わる悲恋「ヒールとランジャー」をベースにした物語。二人の淡い恋の場面に流れるラフマーン曲が美しい。

▼予告編

 ■インド大映画祭

12月14日(土)〜27日(金)シネマスコーレ(名古屋)
12月14日(土)〜28日(土) 高崎電気館(群馬)

9月に大阪で開催された上映を、名古屋、高崎にて上映。タミル、テルグ、マラヤーラム映画6作品を日本語字幕で上映。

▼公式サイト
http://idemovie.org/title

[上映作品]

『ヴィクラムとヴェーダー』(原題:Vikram Vedhha/ タミル/ 2017)
刑事(マーダヴァン) v.s. マフィアのボス(VSP)。善と悪に境界はあるのか。東京国際映画祭で上映された話題作。
監督:プシュカル-ガーヤトリ
主演:マーダヴァン、ヴィジャイ・セードゥパティ、シュラッダー・シュリナート
音楽:サムC.S.

『百発百中(原題:Gilli )』(タミル/2004)
監督:ダラニ
出演:ヴィジャイ、トリシャー、プラカーシュ・ラージ

カバディの選手を目指すヴェール(ヴィジャイ)は試合のためマドゥライに行く。そこで、望まない結婚から逃れてきたダナラクシュミ(トリシャー)に出会う。

『24』(タミル/2016)
ある科学者が発明したタイムマシーンと、それを奪おうとする双子の弟。その争いは、成長した科学者の息子にまで及ぶ。スーリヤ一人3役の痛快スリラー。南インド映画祭(2017)上映作品。

監督:ヴィクラム・K・クマール
出演:スーリヤ、サマンタ、ニティヤー・メーノーン、サラニャー・ポンヴァナン

『セードゥ (原題:Sethu)​』(タミル/1999)
暴れん坊の青年は、バラモンの少女に恋をする。けれども、ケンカの後遺症から彼は脳に大きなダメージを負う。フィルムフェア賞や国家映画賞タミル映画部門受賞作。

監督:バーラー
出演:ヴィクラム、アビタ

『眠り(原題:Nidra)』(マラヤーラム/2012)
ドイツからの留学を経て帰国したラジューは、母の死を知り衝撃を受ける。幼なじみとの結婚で少しずつ悲しみが癒されていくが、数々の不幸が彼に襲いかかる。シッダールト・バーラタンが自身の父、バーラタンの作品をリメイク。マラヤーラム映画のニューウェーブと評価された作品。

監督・主演:シッダールト・バーラタン、リーマー・カリンガル

『バーガマティ (原題:Baagamathi)』(テルグ/2018)
恋人殺害の罪で服役中の政府職員チャンチャラは、かつて王妃バーガマティの住まいだった廃墟の館に移送される。『バーフバリ』出演のアヌシュカ・シェッティ主演のホラー。

監督:G.アショク
出演:アヌシュカ・シェッティ、ジャヤーラーム

『Lingaa(原題:リンガー)』(タミル/2014)

コソ泥で生きてきた男は、ダムを築いた先祖の偉業を知る。。『ムトゥ 踊るマハラジャ』のラジニカーント、K.S.シヴァクマール監督が再びタッグを組んだ作品。

監督:K.S.ラヴィクマール
出演:ラジニカーント、ソナクシー・シンハー、アヌシュカ・シェッティ、ジャガパティ・バーブ、デーヴ・ギル、サンタナム、カルナーカラン、ブラフマーナンダム
音楽:A.R.ラフマーン

ベンガル映画『音楽サロン』@メゾンエルメス(銀座)

銀座メゾンエルメスのル・ステュディオにて、ベンガル映画『音楽サロン』(原題:Jalsaghar, 1958年)を12月の週末に上映。新興富裕層に対抗して音楽会を開く没落した地主。同サロンで2008年に上映したサタジット・レイ監督作品を再上映。1981年の仏カイエ・デュ・シネマ誌ベスト10ノミネート作品。事前登録・予約制(下記リンクから申し込みできます)。

音楽会ポスター

1958年/インド/99分/モノクロ/デジタル上映

監督・脚本:サタジット・レイ
原作:タラションコル・ボンドパッダエ
撮影:シュブロト・ミットロ
美術:バンシ・チャンドラグプタ
音楽:ヴィラーヤト・カーン
出演:チョビ・ビッシャス、ポドマ・デビ、ベーガム・アクタル、ゴンガポド・ボシュ、ローシャン・クマーリー

▼メゾンエルメス 詳細・申し込み
https://www.hermes.com/jp/ja/story/maison-ginza/studio/191201/

[近日公開作品]

2020年は1月からインド映画の公開が盛りだくさん。

■『マニカルニカ ジャーンシーの女王』

マニカルニカ ポスター

イギリス軍に抗うインド反乱軍を率いたラクシュミー・バーイーをカンガナー・ラーナウトが演じる『マニカルニカ』の公開が決定。脚本は『バーフバリ』シリーズや『バジュランギおじさんと、小さな迷子』を手がけたK.V.ヴィジャエーンドラ・プラサード。インド公開は2019年1月25日。

原題:Manikarnika: The Queen of Jhansi(ヒンディー/2019)
監督:ラーダ・クリシュナ・ジャガルラームディ(クリッシュ)
主演:カンガナー・ラーナーウト、ジーシュ・セーングプタガ、ダニー・デンゾンパ、スレーシュ・オベロイ、アトゥル・クルカルニー
脚本:V.ヴィジャエーンドラ・プラサード
音楽:シャンカル-エフサーン-ローイ
©️Esselvisionproduction (p) (LTD)

2020年1月3日より新宿ピカデリーにて2週間限定ロードショー。
配給:ツイン

 

▼公式サイト
http://manikarnika-movie.com/

■『プレーム兄貴、王になる』

プレーム兄貴王になる

劇団員プレームは、災害被災者支援をするマイティリ王女に貯めた小銭を募金するため憧れのマイティリ王女に会おうと、市場で王女への土産物を探していた。一方、継承者争いに巻き込まれたヴィジャイ王子のスタッフは、市場で王子に瓜二つのプレームを見つけ、影武者に仕立てる。

2015年の公開時にインドで大ヒットし、インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン2017で上映された『プレーム兄貴、お城へ行く』が題を新たに劇場公開決定。いまも伝説的なブロックバスターとして知られる『私はあなたの何?(Hum Aapke Hain Koun…!/ 1994)』を産んだスーラジ・バルジャーティヤー監督とサルマン・カーンが、『Hum Saath-Saath Hain: We Stand United 』(1999)以来、14年ぶりに組み、時代に流されずダンスと家族愛に溢れた古き良きボリウッド作品をつくり上げた。

原題:Prem Ratan Dhan Payo(ヒンディー/2015)
脚本・監督:スーラジ・バルジャーティヤ
出演:サルマン・カーン、ソーナム・カプール、ニール・二ティン・ムケーシュ、アヌパム・ケール
音楽:ヒメーシュ・レーシャミヤー
公開:2020年2月21日(金)より東京 新宿ピカデリーほか全国順次ロードショー
配給:SPACEBOX
©️Rajshri Productions ©️Fox Star Studios

▼公式サイト
www.prem-aniki.jp

■Saaho

サーホポスター

『バーフバリ』主演のプラバース、「アマレンドラ」「マヘンドラ」以後初の出演作品。主ラッダー・カプール(愛するがゆえに)と共演のアクション・スリラー。監督は特にヒット作経験がないスジートで、『バーフバリ』公開後、人気が瞬間沸騰したプラバース主演作に北の映画関連会社が権利を争ったようで、ヒンディー大作に常に関わっているTシリーズや、最近は南で名前を聞かなかったYash Rajまでもが配給に関わっている。

2019年夏のインド公開ではオリジナルのテルグ語、デフォルトでダビングされるタミル語に加え、ヒンディー語版でも公開。プラバースはヒンディー語を学び地声でダビングしたとのこと(IMDbソース)。インドでは製作費350カロール(35億ルピー)に対し、興収は430カロール(43億円、ソース:Boxoffice India)。

原題:Saaho(テルグ/2019)
監督:スジート
出演:プラバース、シュラッダー・カプール、ジャッキー・シュロフ、ニール・ニティン・ムケーシュ、ヴェンネル・キショール、ムラーリ・シャルマー
音楽:バードシャー、タニシュク・バグチ、グル・ランダーワー
配給:ツイン
©️UV Creations

2020年春、新宿ピカデリーなどで公開

■Chhichhore(原題)

Chichchoreポスター

『ダンガル きっとつよくなる』のニテーシュ・ティワーリー監督の2019年ヒット作『Chhichhore』の公開がはやくも決定。

原題:Chhichhore(ヒンディー/2019)
監督:ニテーシュ・ティワーリー
出演:スシャント・シン・ラージプート、シュラッダー・カプール
2020年4月、シネマート新宿・心斎橋にて公開
配給:ファインフィルムズ
©️Fox STAR Studios

[各地で上映中]

以下の作品も、まだまだ全国で上映中です。

■ヒンディー映画『ガリーボーイ』/10月18日(金)公開

ガリーボーイ

ムンバイのダラヴィースラムで生まれ育ったイスラーム教徒の青年。父は使用人。ラップとの出合いが、「生まれ」に縛られた彼の人生に変化をもたらす。ムンバイのストリートラッパー、Naezyの半生をベースにした物語。ベルリン国際映画祭で世界初上映された際大歓声で迎えられた作品が、満を持しての日本公開。

9月5日には、ゾーヤー・アクタル登壇のジャパンプレミア上映あり。米映画『8マイルズ』に似ていると言われるけれど、リメイクではありません。貧困の中に育った青年がラップに出合い、生き方が変わる、というのは、楽器が不要なラップの世界では普遍的なテーマなのかも。日本映画でも似た題材の作品が公開されるようですし。

9月5日に新宿ピカデリーでゾーヤー・アクタル監督が登壇した日本プレミア上映では大反響。セリフ、カメラワーク、音楽と全てが素晴らしく融合して青年の半生を現実的に映し出し、とにかく心が動かされた作品。見終えたあとはしばらく興奮が冷めやらず。今年の見逃し厳禁作の一つ。

原題:Gully Boy(ヒンディー語/2018年作品)
監督:ゾーヤー・アクタル(人生は一度だけ)
出演:ランヴィール・シン(パドマーワト)、アーリアー・バット(スチューデント・オブ・ザ・イヤー)、シッダーント・チャトゥルヴェディ(新人)、ヴィジャイ・ラーズ(モンスーン・ウエディング)
配給:ツイン
©️Excel Entertainment and Tiger Baby

▼公式サイト
gullyboy.jp

■『ロボット2.0』/10月25日(金)公開

ロボット2.0

2018年全インドの映画興収トップ作品が日本公開中、評論家のレビューもなかなかよい印象。前作『ロボット』では、チッティは機能を停止され休眠中。そのころ、街中から消えたスマートフォンが凶器となり、殺人事件が起こる。バシー博士(ラジニカーント)は首謀者を探す中、人々を襲うスマホモンスターと対決させるため、封印したチッティを再起動。共演のモンスター役は、米経済誌『Forbes』の「もっとも稼ぐ俳優ランキング」4位に入ったアクシャイ・クマール(パッドマン)。

前作の破茶滅茶ぶりはかなり抑えこまれ、シャンカル監督、世界市場を狙うべくかなり洗練され、環境問題も意識した見応え十分の作品。チェンナイで3Dで見たのは、忘れられない至福の体験。間もなく公開の中国のスクリーン数はギネスレベル。日本でも1000スクリーンくらいで公開されていいと思うな。3D上映も切望。

原題:2.0(タミル語/2018年作品)
監督:シャンカール(ロボット、シヴァージ)
出演:ラジニカーント、アクシャイ・クマール、エイミー・ジャクソン、アディル・フセイン(ガンジスに還る)
音楽:A.R.ラフマーン
配給:配給:アンプラグド・KADOKAWA
©2018 Lyca Productions. All rights reserved.

▼公式サイト
https://robot2-0.com/

■『盲目のメロディ〜インド式殺人狂騒曲』/11月15日(金)公開

盲目のメロディ

盲目のピアニスト、アカーシュは、元俳優宅に演奏に招かれた際、妻の夫殺し事件に巻き込まれる。彼は現場を見ていたのか否か。今年のインド国歌映画賞で男優賞、ヒンディー映画賞を獲った作品。豪メルボルン・インド映画祭での受賞イベントで、タブーが謎解きへのギモンを口にしたことがきっかけで、公開から1年が経った今、「新たな解釈」が話題になっているのも興味深いところ。監督も、「明確な答えが出るような作品にはしなかった」のだそう。何度見ても新たな解釈が生まれるクライムスリラーといえる。

盲目のピアニストを演じたアーユシュマーンは、もともとギターを弾けるミュージシャンではあるものの、役作りのためピアノを短期間で猛特訓し、劇中では代役なしで盲目のピアニストとして流暢に弾きこなしている点が驚嘆。

当初、「Shoot the Pianist」の仮題で製作され、フランソワ・トリュフォーへのオマージュが込められているのは知られざるトリヴィアだそう。ジェットコースターのようなクライムスリラー。インドの興収判定は「スーパーヒット」と80カロールに届かなかったものの、中国での大ヒットから世界興収400カロール越えのボックスオフィスモンスター的作品。

原題:Andhadhun(ヒンディー語、2018年作品)
監督:シュリーラーム・ラーガヴァン(エージェント・ヴィノッド、復讐の町)
出演:アーユシュマーン・クラーナー、タブー、ラーディカ・アープテー(パッドマン)
音楽:アミット・トリヴェーディー
公開:11月15日(金)より
配給:SPACEBOX
©Eros international all rights reserved

▼公式サイト
m-melody.jp

■『マッキー』復活上映/11月1日(金)より順次公開

マッキー再上映ポスター

5年ほど前のインド旅行中、デヘラドゥン近くのチベット人地区の宿。入室すると、死んだゴキブリが部屋の中央に横たわっていた。翌朝出かける際、ゲストハウスのスタッフに片付けるよう依頼したものの、夕方になってもゴキブリは片付けられず。チベット仏教徒は虫も殺さないというから仕方がないと諦めて、滞在中はゴキブリさんと過ごした。そんな経験から、S.S.ラージャマウリ監督作品『マッキー』を観たあとは特に、虫を殺せなくなってしまいました。

思い続けた女性い恋を告白したその夜、悪党に殺された青年。復讐への煮えたぎる思いから新たな生を得るが、それはハエ。社長はありとあらゆる手段をつかってハエを殺そうとする。忌み嫌われるハエに生まれ変わった男と、意思疎通が難しい彼女。悪党に殺された男。転生できたけれど、生まれ変わった姿はハエだった。男は復讐できるのか。

ハエ v.s. 人間の熾烈な戦いをCGで表現した痛快な娯楽作品。当時のテルグ映画界最高技術を駆使して作られた作品。S.S.ラージャマウリ監督作品の過去作が、『バーフバリ』の人気で再びスクリーンに復活。南印映画界で大活躍のサマンタ、デビューまもない頃の作とはいえ、今とはだいぶ印象が違います。この作品を観たら「誰かの生まれ変わりかもしれない」と感じ、虫を殺せなくなりました。

原題:Makkhi(テルグ映画『Eega』のヒンディー語版/2012年作品)
監督:S.S.ラージャマウリ
主演:スディープ、サマンタ、ナーニ
原案:V.ヴィジャエーンドラ・プラサード
音楽:M.M.キーラヴァーニ
配給:TCエンタテインメント
©️M/s. VARAHI CHARANA CHITRAM

▼公式サイト
http://www.tc-ent.co.jp/sp/makkhi_again/

[自主上映]

インドエイガ・ドットコムがテルグ映画「Ala Vaikunthapurramuloo」の1月上映をアナウンス済み。

■Ala Vaikunthapurramuloo

テルグ映画界の超絶ダンサー、アッル・アルジュン主演の『Ala Vaikunthapurramuloo』(意訳:かつてヴァイクンタプラムルーで/2020年1月12日インド公開予定)をインドエイガドットコムが自主上映を早くもアナウンス。共演は『ハウスフル4』にも出演していたプージャ・ヘグデ。

注目は、公開中の『盲目のメロディ』で強烈なパンチラインの悪女を演じたタブー。もハイダラーバード生まれながらも、近年ではヒンディー映画やハリウッドでの活躍が目立っていたのですが、2008年の『Pandurangadu』(バラクリシュナ主演)以来、久々のテルグ映画出演になるもよう。

今度は日本語字幕をつける、という情報も入っておりますが、さてどうなるのか。Google翻訳を現地で貼り付けたような字幕でないことを祈るばかり。

脚本・監督:トリヴィクラム・スリニーヴァス(Aravindha Sametha Veera Raghava)
出演: アッル・アルジュン、タブー(盲目のメロディ)、プージャ・ヘグデ。コメディ俳優は結構豪華で、スニール(あなたがいてこそ)のほか、キショールさんなど。
音楽:S. Thaman。

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