上映権利を得て、インド人団体が世界リリースのタイミングで母国の映画を自主上映。インド人が集まりやすい地域にある劇場を借り上げるか、もしくは最上級の施設ながらも利用料が比較的安い川口SKIPシティを借り上げて開催されている。一時期はさまざまな団体が競って上映していたが、2019年に活動したのは4団体のみとなった。
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2019年のインド映画自主上映作品リスト／Indian films screened by Indian groups in Japan 2019
2019年は、4団体により5言語（ヒンディー、タミル、テルグ、マラヤーラム、カンナダ）の新作33作品が上映された。
注：各作品の紹介において、ストーリーの結末には触れないようにしています。
Celluloid Japan：マラヤーラム、タミル映画 Malayalam and Tamil Films
上映本数は6作品。
Njan Prakashan (2018)
上映日: 1月20日
Director: Sathyan Anthikad
Stars: Fahadh Faasil, Sreenivasan, Nikhila Vimal
言語：マラヤーラム
ジャンル：コメディー
タイトル意訳は「僕、プラカーシャン」。マラヤーラム映画界の注目俳優、ファハド・ファーシル主演作。プラカーシャンは「アーカーシュ」と名を変え、タダ乗り人生で生きようとするが、そんな簡単にはいかない。タイトルの意味が明かされるエンディングが見事。俳優の外見にこだわる北インドとは対をなし、俳優の実力だけでこれほどの作品を作るマラヤーラム映画界のレベルの高さ。
Peranbu (2018)
上映日：2月11日
Directors: Ram, Amudhavan Karuppiah (co-director)
Stars: Mammootty, Sadhana, Anjali
言語：タミル
ジャンル：ドラマ
タイトル意訳は「大いなる愛」。妻に去られ、湖のほとりの家で、知的障がいがある娘を一人で育てる父。初潮を迎えた娘とどう接するか、父の苦悩と娘の苦難。トンネルを抜ければ、いつか光は見える。マラヤーラム映画界の二大俳優の一人、マンムーティ主演。さまざまな映画祭で評価された作品。
Kumbalangi Nights (2019)
上映日：3月24日
Director: Madhu C. Narayanan
Stars: Shane Nigam, Soubin Shahir, Fahadh Faasil
言語：マラヤーラム
ジャンル：ファミリードラマ
タイトルは「クンバランギ（地名）の夜」。水辺の家に暮らす４兄弟の恋と人生。美しいケーララの自然を余すところなく伝える映像と、秀逸なコメディー。プロデューサーを務めるファハド・ファーシルが、インパクト特大なキャラクターでカメオ出演。
LUCIFER (2019)
上映日：4月14日、20日
Director: Prithviraj Sukumaran
Stars: Mohanlal, Vivek Oberoi, Manju Warrier
言語：マラヤーラム
ジャンル：政治スリラー
ケーララ州首相が逝去する。次にその座に就くのは、亡き州首相の息子か新たな政治家か。〝コンプリート・アクター〟モーハンラールを、俳優プリートヴィラージが監督し、恐ろしく存在感が強い政治界の「黒幕」として描く。タイトルは「堕天使」の意。
Oru Yamandan Premakadha (2019)
上映日: 5月18日
Director: B.C. Noufal
Stars: Dulquer Salmaan, Vishnu Unnikrishnan, Soubin Shahir
言語：マラヤーラム
ジャンル：ロマンス、コメディー
タイトルの意は「大いなる愛の物語」。マラヤーラム映画界の二大俳優の一人、マンムーティの息子で、近年では南にとどまらず北インド・ヒンディー映画界でも活躍するドゥルカル・サルマーン。絵描きラッルの、愛をめぐる物語。
VIRUS (2019)
上映日：7月6日
Director: Aashiq Abu
Stars: Parvathy Thiruvothu, Tovino Thomas, Asif Ali, Revathy
言語：マラヤーラム語
ジャンル：スリラー
呼吸器疾患や脳炎を引き起こすニパウィルスへの感染者が急増。感染拡大を食い止めるため、命がけで対処に当たった医療関係者のドラマ。実話がベース。インドの国内映画祭、第10回Jagran Film Festivalで、ベスト長編作品に選ばれた。
Indo Eiga：テルグ映画 Telugu Films
テルグ映画のみ8作品を上映。
NTR Kathanayakudu
上映日：1月12日
Director: Radha Krishna Jagarlamudi (as Krish Jagarlamudi)
Stars: Nandamuri Balakrishna, Vidya Balan, Satyanarayana Kaikala
言語：テルグ
ジャンル：伝記
タイトルの意は「NTR: 主人公」。テルグ映画界の二大クラシカルスターはNTRとANR。NTRは俳優人気を端緒に政治家となり、アーンドラ・プラデーシュ州の州首相に上り詰めた。実子であるバーラクリシュナがNTRを演じる。ヒンディー映画界の実力派俳優、ヴィディヤー・バーランが出演。
F2 – Fun and Frustration
上映日：1月19日、25日
Director: Anil Ravipudi
Stars: Venkatesh Daggubati, Varun Tej, Tamannaah Bhatia, Mehreen Pirzada, Prakash Raj
言語：テルグ
ジャンル：コメディー
二組のカップルのドタバタコメディー。公開前はさほど話題にならなかったが、公開後クチコミで客足が伸び、スリーパーヒットに。
NTR Mahanayakudu
上映日：2月19日
Director: Radha Krishna Jagarlamudi
Stars: Nandamuri Balakrishna, Vidya Balan, Rana Daggubati
言語：テルグ
ジャンル：伝記
二部作の後編、タイトルの意は「NTR: 偉大なリーダー」。俳優から政治家に転向し、アーンドラ・プラデーシュ州首相となったNTRの生涯。ラーナー・ダッグバーティーが出演。
Jersey
上映日：4月21日
Director: Gowtam Tinnanuri
Stars: Nani, Shraddha Srinath, Harish Kalyan
言語：テルグ
ジャンル：スポーツドラマ
ナショナルクリケットチームのユニフォーム（ジャージ）をめぐる、父子のスポーツドラマ。公開後の評価も高く、大作娯楽映画が興行の中心にあるテルグ映画界に、大きな風穴を開けた作品だった。
Maharshi
上映日：5月12日
Director: Vamshi Paidipally
Stars: Mahesh Babu, Pooja Hegde, Allari Naresh
言語：テルグ
ジャンル：ドラマ
父の生き方を否定し、中流層出身ながら世界企業のトップに上り詰めたリシ。連絡が途絶えていた学生時代の友人との再会から、知られざる事実が判明し、彼のヴィジョンは大きく変化する。〝プリンス〟マヘーシュ・バーブが牛を追い、田植えをする衝撃的なスチル画像が話題になったヒューマンドラマ。タイトルは「偉大な聖人」の意。
Dear Comrade
上映日：8月4日
Director: Bharat Kamma
Stars: Vijay Deverakonda, Rashmika Mandanna, Raj Arjun
言語：テルグ
ドラマ：ロマンス
クリケット女子ナショナルチーム選手のリリーに片思いした、すぐに頭に血が上るタイプの青年ボビー。タイトルは『親愛なる同志』。公開直後、目利きプロデューサー・監督のカラン・ジョーハルが、ヒンディー語リメイク権を獲得したことで話題になった。
Evaru
上映日：8月18日
Director: Venkat Ramji
Stars: Adivi Sesh, Regina Cassandra, Naveen Chandra
言語：テルグ
ジャンル：スリラー
警部補ヴィクラムは、女性に暴力を振るい、被害女性の側の正当防衛によって殺されたとされるオフィサーの事件を追う中、驚くべき事実を突き止める。スペイン映画『Contratiempo/ The Invisible Guest』（2016）のリメイクで、同年に公開されたヒンディー映画『Badla』と同ソース。タイトルは「誰？」の意。
Gangleader
上映日：9月21日
Director: Vikram K. Kumar
Stars: Nani, Lakshmi, Kartikeya Gummakonda, Saranya Ponvannan, Vennela Kishore
言語：テルグ
ジャンル：コメディー
英語映画のあらすじをリライトして小説として売っている「作家」ペンシル。ある時、年齢も職業も異なる5人の女性たちが彼を訪ね、復讐を依頼する。随所に効いたユーモアが楽しいクライムコメディー。チランジーヴィ主演の『Gangleader』との混同を避けるため、公開当時は『Nani’s Gangleader』と呼ばれた。
魅惑のテルグ映画 Joy of Telugu Films
『バーフバリ』出演キャストの人気の高まりから、インドエイガの過去上映タイトルを中心に上映。第5回目はなんと、インドからスッバラージュgaruが来日し、ファンと交流をはかった。上映作品は9作品（Mirchiは2度上映）で、インドエイガ過去上映作品との重複分を除くと、4作品が新規上映となった。
第1回：3月2日 プラバース特集
上映作品:『Mirchi』（2013）, 『Darling』※（2010） ※は新規上映作品。
第2回：4月6日 プラバース特集 その2
上映作品：『Billa』 ※（2009）, 『Mr. Perfect』※ (2011) ※は新規上映作品。
第3回：6月29日 ラーナー・ダッグバーティー特集
上映作品：『Krishnam Vande Jagadgurum』（宇宙の創造神、クリシュナ／2012）, 『Nene Raju Nene Mantri』※ （我は王、我は首相／2017） ※は新規上映作品。
第4回：9月8日 スッバラージュ特集
上映作品：『F2- Fun and Frustration』(2019), 『Duvvada Jagannadham』(2017)
第5回：11月9日 スッバラージュ来日
『Mirchi』（2013）,『Geetha Govindam』（2018）
[来日時インタビュー Banger!!!掲載]
▼『バーフバリ 王の凱旋』クマラ役のスッバラージュ来邦にジャイホー！ 超貴重な単独インタビュー!!（11月21日掲載）
https://www.banger.jp/movie/22151/
▼『バーフバリ』以降、インド映画はどう変わったのか？ “ジャパン・スッブ”こと人気俳優スッバラージュが語る（11月25日掲載）
https://www.banger.jp/movie/22133/
Spacebox：タミル映画、テルグ映画、ヒンディー映画 Tamil, Telugu and Hindi Films
2019年には、3言語14作品を上映。
Viswasam
上映日：1月10日〜13日
Director: Siva
Stars: Ajith Kumar, Nayanthara
言語：タミル
ジャンル：ファミリードラマ
暴れん坊で学校中退のドゥライは、医療キャンプのため村を訪れたムンバイ生まれの医師ニランジャナーと出会う。二人は結婚し娘を授かるが、考え方の違いから、母は娘を連れムンバイに戻る。別れた娘と父の絆。タイトルは「誠意」の意。ラジニカーント主演作と同時公開ながらタミルナードゥ州で大ヒット。
Vinaya Vidheya Rama
上映日：1月13日
Director: Boyapati Srinu
Stars: Ram Charan, Kiara Advani, Aadhithya
言語：テルグ
ジャンル：アクション
医師に拾われた孤児のラーム。ある時、幸せな家族を脅かす事件が起こり、彼は家族のため、敵を倒す旅に出る。メガパワースター、ラーム・チャラン『マガディーラ』の日本公開で名が知られるようになったラーム・チャラン主演作だったが、インドでのレスポンスは残念な結果に。
Petta
上映日：1月12日〜14日
Director: Karthik Subbaraj
Stars: Rajinikanth, Vijay Sethupathi, Nawazuddin Siddiqui
Music: Anirudh
言語：タミル
ジャンル：ギャングノワール
ラジニカーント主演作第165作品目。ダイ・ハードなラジニファンの、カールティク・スッバラージ監督が、過去のラジニ出演作へのオマージュを集め、ファンが望むラジニ像を銀幕に落とし込んだノワール。共演者も豪華。タイトルは主人公の過去の名。音楽も最高。
Vantha Rajavathaan Varuven
2月2日、3日
Director: Sundar C.
Stars: T.R. Silambarasan, Megha Akash, Catherine Tresa
言語：タミル
ジャンル：
タイトルの意は「王になったら戻ってくるぜ」。パワン・カリヤーン主演のテルグ映画『Attarintiki Daredi』 (2013)を、スンダル C監督がリメイク。主演のSimbuのダンスは見どころ。
Gully Boy
上映日：2月15日〜24日
Director: Zoya Akhtar
Stars: Ranveer Singh, Alia Bhatt, Siddhant Chaturvedi, Kalki Kochelin
言語：ヒンディー
ジャンル：ドラマ
『チャンスをつかめ』（Luck By Chance）や『人生は二度とない』（Zindagi Na Milegi Dobara）など、高評価の青年の成長物語を撮ってきたアクタル監督作品。スラム生まれの青年が、「ガリーボーイ （路上の青年）」というラッパーとなり、人生を掴む。毎回満席。
Luka Chuppi
上映日：3月17日（日）
Director: Laxman Utekar
Stars: Kartik Aaryan, Kriti Sanon, Aparshakti Khurana
言語：ヒンディー
ジャンル：ロマンティック・コメディー
インド映画の定番テーマの一つが、〝自由恋愛で結婚できるのか〟。恋に落ちた二人は夫婦を偽り同棲を始めるが、女性の父親は政治家。どう切り出すか悩むうちにドタバタが始まる。タイトルは「かくれんぼ」の意。
NGK
上映日：6月1日〜6月9日
Director: K. Selvaraghavan
Stars: Suriya, Sai Pallavi, Rakul Preet Singh
言語：タミル
ジャンル：政治スリラー
社会に貢献しようと、農業から政治の道に入った主人公だったが、古い勢力に阻まれる。スーリヤ主演の政治スリラー。監督はダヌシュの兄。かなりの挑戦作。
Kabir Singh
上映日：6月21日〜23日
Director: Sandeep Reddy Vanga
Stars: Shahid Kapoor, Kiara Advani, Nikita Dutta
言語：ヒンディー
ジャンル：ドラマ
破天荒な主人公像で話題を呼んだテルグ映画『Arjun Reddy』（2017）のヒンディー語リメイク。監督はテルグ版と同様にSandeep Reddy Vangaがメガホンをとった。テルグに続き、ヒンディー語版リメイクも大ヒットとなった。
Bharat
上映日：6月7日~16日
Director: Ali Abbas Zafar
Stars: Salman Khan, Katrina Kaif, Sunil Grover
Music: Vishal-Shekhar
言語：ヒンディー
ジャンル：ドラマ
韓国映画『国際市場で逢いましょう』を正式にリメイク。サルマンは、インド・パキスタン分離により父妹と離れ離れになり、家長として家族を守る長男役。ボリウッド・ヒロインのイメージを変える、カトリーナ・カイフの強いキャラが爽快。脇を固めるキャストも豪華。ブロックバスターには届かなかったものの、年間ヒット5位には滑り込んだ（Box Office Indiaデータ）。
[資料] Top Hits 2019 (Box Office India)https://boxofficeindia.com/years.php?year=2019&pageId=4
Kaapaan
上映日：9月27日〜29日
Director: K.V. Anand
Stars: Suriya, Mohanlal, Boman Irani, Arya
言語：タミル
ジャンル：政治スリラー
テロリストに命を狙われる首相の命を守る警護官。ロンドン、ニューヨークのほか、ブラジルでも撮影（IMDbソース）。タイトルは「守る人」の意。
Bigil
上映日：10月27日~11月3日
Director: Atlee
Stars: Vijay, Nayanthara, Jackie Shroff
Music: A.R. Rahman
言語：タミル
ジャンル：スポーツドラマ
『Mersal』のアトリ監督とヴィジャイの再タッグ。スター選手ながら、ナショナルチーム入りが叶わなかったマイケル（ビギル）。襲撃に巻き込まれ負傷した友人に代わり、女子サッカーチームのコーチを務める。コメディーを織り込みつつも、女性を勇気づけ、敬意に溢れた娯楽作。タイトルは「指笛、口笛」の意。2019年タミルのトップヒット作。
[資料] Kollywood Box Office 2019 (Sancnilk)https://www.sacnilk.com/entertainmenttopbar/Kollywood_Box_Office_2019?hl=en#top10net
Kaithi
上映日：11月9日
Director: Lokesh Kanagaraj
Stars: Karthi, Narain, Ramana
言語：タミル
ジャンル：スリラー
ドラッグ・マフィアへの手入れを行なったことへの報復で、警察署の警官ほぼ全員がクスリを盛られて意識を失う。倒れた警察官を病院に運ぶため、トラックのハンドルを任されたのは、仮釈放されたディッリ。しかし道中随所でマフィアの攻撃に遭う。ディッリは自身の刑期中に娘が生まれていたことを初めて知る。彼は娘に会えるのか。タイトルは「囚人」の意。秀逸なスリラー。大ヒット作『BIGIL』と同時期公開ながらも高評価を受け、興収が大きく伸びた。
Sangathamizhan
上映日：11月16日
Director: Vijay Chandar
Stars: Vijay Sethupathi, Raashi Khanna, Nivetha Pethuraj
言語：タミル
ジャンル：アクション
劇団の大部屋役者ムルガンは、富裕層の娘カマルに恋をする。しかしその恋には狙いがあった。前半からは予想がつかない超活劇な後半。演技派ヴィジャイ・セードゥパティが挑んだ超テルグ的ヒーロー作品。テルグ語版のタイトルが『ヴィジャイ・セードゥパティ』という点にのけぞる。タイトルは「いにしえのタミル人」の意。
HERO
上映日：12月21日
Director: P.S. Mithran
Stars: Sivakarthikeyan, Abhay Deol, Arjun Sarja, Kalyani Priyadarshan
言語：タミル
ジャンル：アクション
特撮ヒーロードラマ「シャクティマーン」に憧れてきた主人公。ある教育システムへの疑問を抱き、仮面を着け、子どもたちを守るために立ち上がる。
Tokyo Kannada Balaga：カンナダ映画
2019年の上映作品は1本のみだった。
KGF Chapter 1
上映日：1月27日
Director: Prashanth Neel
Stars: Yash, Srinidhi Shetty, Ramachandra Raju, Anant Nag
言語：カンナダ
ジャンル：ドラマ
デビュー作『Ugramm』（2014）でカンナダ映画界に風穴を開けたプラシャーント・ニール監督の2作目。幼くして母を亡くしたロッキーは、マフィアのドンになるためムンバイに出向き頭角を表していくなかで、コーラール金山（Kolar Gold Fields: KGF）労働者のヒーローとなる。二部作目は2020年公開予定。日本での上映会では、主演のヤシュから会場にいた親戚に電話が掛かってきて騒然となったという。この年のカンナダ映画トップヒットとなった作品。
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